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2019.01.30

アサシス社によるARDSに対する臨床試験結果につきまして

1月24日にお知らせいたしました、「アサシス社による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する探索的臨床試験結果のお知らせ」につきまして、いくつかご質問をいただきました。

内容に、少々わかりにくいところがございましたので、ブログの場を借りまして少し補足説明させていただければと思います。

 

そもそもこれはよいニュースなのか、悪いニュースなのか?と言いますと、よいニュースです。

アサシス社が米英にてARDSという肺の疾患の患者さんを対象にして行った探索的治験(=その薬の有効性の可能性を探るための、初期段階の治験、とお考え下さい)にて、いくつかの指標でポジティブな結果が得られました。

ARDSとは、肺炎や敗血症、あるいは交通事故などによる外傷などが原因となって突然起こる呼吸不全、肺の疾患です。

呼吸不全のため、人工呼吸器を使用して呼吸を管理します。発症後の死亡率は全体30~58%とも言われています。

アサシス社は、医師や患者さんは、どちらが投与されたのかわからない状態で(二重盲検)、ARDS患者さん20人に対してMultiStemを、10人に対して偽の薬(プラセボ、と言います)を投与して、投与後28日間の評価を比較しましたところ、MultiStemを投与した患者さんと投与されなかった(偽の薬を投与された患者さん)との間で、死亡率をはじめとしたいくつかの指標で改善傾向が見られたのです。

この指標が、日本語訳をした際にわかりにくくなってしまいまして申し訳ありません。

英語では“Ventilator-free (VF) days”と言い、こちらは肺の疾患での指標としてよく使われる指標です。日本語では、「28日間のうち、人工呼吸器を使わなかった日数」ですのでこれは長いほうが患者さんにとってよい状態。

MultiStemを投与した患者さんでは12.9日に対して、偽薬を投与された患者さんでは9.2日でしたので、MultiStemを投与した患者さんの方が人工呼吸器を使わなかった日数が長くなりました。

続いて、英語で”ICU-free days” ですが、こちらも「28日間のうち、ICU(集中治療室)にいる必要がなかった、つまりICUから出られた日数」ですので、同じく長いほうが患者さんにとって良い指標です。

こちらもMultiStemを投与した患者さんでは10.3日だったのに対して、偽薬を投与された患者さんでは8.1日でしたので、MultiStemを投与した患者さんのほうがICUから出られた状態が長く続きました。

 

一方、ヘリオスは、日本国内にて、このMultiStemをARDSの新しい治療法とすべく、開発を行っています。ヘリオスの実施する治験では、20人の患者さんにMultiStemを、10人の患者さんには何も投与せず通常の治療を受けていただき、その結果を比較します。(偽の薬は使わないので、患者さんや医師もどの治療法を受けたかわかっている(非盲検)試験です。)

比較する際の項目は、まずは「28日間のうち、人工呼吸器を使わなかった日数」です。もちろん死亡率などの様々な他の項目も評価します。

ヘリオスにとって、まずアサシス社の治験によって、MultiStemがARDS患者さんにとって安全性に問題がなかったことは、これから日本で治験をする上でも重要です。また、ヘリオスが主要な評価項目としている「28日間のうち、人工呼吸器を使わなかった日数」についてもよい傾向が見られていますので、日本国内でも示すことができれば、と期待しています。

現在、ヘリオスでは、患者さんへの投与の開始にむけて治験を行う病院などと準備を進めています。治験が終了するまでには2年間ほどが必要と見込んでいます。

 

ヘリオスでは、脳梗塞発症から36時間以内の患者さんに対する治験も行っています。

私たちは、MultiStemが様々な疾患に適用できる可能性がある細胞治療法になるかもしれない、と期待をしています。まずは、現在日本国内にて、脳梗塞急性期と、ARDSの治療法開発をしっかり進めてまいります。